管理部門のスペシャリスト&マネジメント

昨日、とある製造メーカーをご訪問し、求人ニーズを聞いてまいりました。投資会社の投資先企業との接点はいくつかありますが、それ以外の事業会社のお取り引きはすくないので、当社としてはめずらしいお客さまです。わたしの卒業した学校の関係で財務部門の幹部の方と接点があったのですが、どうも先方には金融関連のスペシャリティーの高い方の採用ニーズがあったようで、呼ばれました。


その会社はおおくのテレビCMを流していますし、斬新な商品を出しているので、消費者からの認知度も好感度も高い企業です。


つねに新しいものにチャレンジする社風で、今では各社が発売している商品も実はその会社が最初に出したものが多いと聞きました。学生からも「新商品の開発ができる」「マーケティングにかかわれる」ということで、就職先として人気が高く、優秀な学生がたくさん採れている様子でした。


社風を大切にしたいという希望と優秀な新卒が採れるという背景から、その会社では今までほとんど中途採用をしてこなかったようなのですが、今回のニーズは財務経理関係の若手の補強です。


この会社に入社したいと門をたたく方は、消費者から目につくところの「新商品の開発」か「マーケティング」であり、「この会社で財務経理をしたい」という希望のひとは皆無に近いのだそうです。そうはいっても、財務経理は会社にとって大切な機能です。したがい、元開発希望、元マーケティング希望の方を財務経理に配属するようなのですが、もともとの希望と違う配属された若手は、士気が上がらず、その部門で成功したい、出世したいと考える若手が少ない、ということでした。


その会社での花形部門が目立つほど、ほかの部門(たとえそれが重要な部門であっても)を担う人を社内で確保することが難しくなるという、ジレンマです。


このような場合、その道のスペシャリストであり、マネジメント志向のある方が中途採用で入ると、うまくいくかもしれないと感じました。「社内では花形ではないが会社機能的にはたいせつな部署で、そこでのスペシャリティーがあり、若いときから社風にもなじんで、ゆくゆくはその部門の担当役員になる」というキャリアストーリーです。


とくに最近の財務経理は金融取引法の施行により、J-SOX対応や時価評価、開示頻度スピードのアップなど、より複雑・高度化しているため、若いときからその道のプロになるという気概のあるかたが担わないと対応できそうにありません。といっても、完全にその道のスペシャリティだけ追求したいひとであれば、外部の専門家になったほうが適しているわけであり、組織をまとめる欲求があるひとが向いていると思います。


有名企業にも、こういう人材ニーズがあるということを再認識したのでした。