「若者はなぜ3年で辞めるのか」

先日の歴史の勉強の続きですが、中国古典がわかりやすく書いてある本はないかと思い、本屋でSBIの北尾さんの書かれた本を見たところ、「私の師は安岡正篤先生」とありました。そこで安岡正篤氏の「論語に学ぶ」を買おうと思い、本屋で探しました。


神田駅前に2フロアある結構大きな本屋があるのですが、そこには置いておらず、5フロアくらいあるもっと大きな本屋に行って漸く見つかりました。


昭和40年代に書かれた本ですが、確かに分かりやすく勉強になる本です。そこに、「最近は論語ブームで、忠臣蔵の戯曲か、論語の本は必ずヒットする」と書かれていました。昭和40年代は論語ブームがあったんですね。最近は「論語を読んでる」と言うと、「は?なんで?」という反応を受けますから、時代の違いに少々びっくりです。


余談はさておき、本題です。

最近、新卒の採用活動をしているのですが、新卒の方に「なぜ若者は3年以内に辞めるのだと思いますか」と聞かれました。会社が若者を活用出来ていないからだとか、若者の忍耐力がないからだとか、いろいろと理由は言われていますが、私は大きな要因として、「プレゼンテーション能力が上がっている」ことがあるのではないかと思っています。


会社は自社のPRが上手になって、あたかも入社すると魅力的な仕事がたくさんあるようにプレゼンテーションする。
学生もいかに自分が頑張ることが出来る能力ある人間かということを上手にプレゼンテーションする。


仕事は当然、全てが楽しいものであるとは限りません。しかし、魅力的なイメージだけを持って入社した新入社員は「聞いていた話と違う」と感じ、絶望してすぐに辞めてしまうことも多いのではないでしょうか。


論語抄」(陳 舜臣著)にあった論語のフレーズで印象深いのは

 ■巧言令色、鮮し仁 
  (巧みや言葉やたっぷりした表情の人間には仁=本当の人の心は少ないのだ)
 ■剛毅木訥、仁に近し
  (剛=無欲、毅=果敢、木=素朴、訥=遅鈍)


です。


会社は良いことだけをPRして採用するのでは、いずれ関係は破綻すると思います。
採用する側も採用される側もお互いの「巧言令色」に惑わされずに、しっかりと判断できる能力を身につけていきたいものだと思います。
そして、「巧言令色」よりも「剛毅木訥」のほうが好まれる社会になって欲しいなと、個人的には思います。