こだわり

先日、友人との飲み会に外資投資銀行のVPの人がいました。私は業界のことなどを聞きたいですし、純粋にお友達になりたかったのですが、相手は私のことをヘッドハンターだと勘違いし、「俺はまだ転職しないから、“良い話”をされても話に乗らないよ」と警戒心満々でした。恐らくたくさんのヘッドハンターから電話がかかってきて節操なく転職を勧めるので、へきへきしているのでしょう。私はヘッドハンターではありませんが、広く言えば同じ業界人が警戒心をもたれる行動をしているのかと思うと、寂しい気分になりました。


当社は基本的にはヘッドハンティングはしません。あくまでもご本人が今後のキャリアを考えて自らアクションすることが大切だと思っているからです。自らアクションをおこした方に対して、溢れかえる情報の中から自分にとって意味のある情報をピックアップできるよう、選択の軸をご提供し、選択肢を一緒に考える存在であることが私たちキャリアカウンセラーの存在意義です。以前はヘッドハンティング業務を手がけたこともありました。しかしヘッドハンティング業務は時には転職する気がない人をその気にさせて転職へ誘導することもせねばならず、そういうことにどうしても違和感がありました。


転職サポートの仕事をしながら矛盾していると思われるかもしれませんが、私は転職回数は多くない方が良いと思っています。仕事は一年や二年で分からないこともたくさんあり、長く続けることで分かることもたくさんあります。やりたいことを追求することも大切ですが、それとすぐに転職することは話は別です。細切れの仕事は自分の実力にもならないだけではなく、会社にも迷惑をかけることになります。安易な転職、採用は人も企業も労多くして実りなし。誰もハッピーになれません。そういう考えなのでエンジャパンの「転職は慎重に」の標語は実に深みがあって、良い言葉だなといつも思っています。


大切に考えるべき転職という人生の転機。そこに立ちあうことの重大さを考えると、より一層勉強しなくてはと思うのでした。