外資系証券会社がファイナンス会社を持つ理由

最近、外資系金融機関が設立したファイナンス会社が随分増えたなと思います。リーマンブラザーズは三年くらい前からアパート建設資金を不動産会社に融資する会社を持っていますし、最近では住宅ローンを提供する会社も持っています。メリルリンチも最近、不動産オークションサイトのIDUと合弁でファイナンス会社を設立しました。少々前の話になりますが、新生銀行は新会社設立ではなく、既存ノンバンクの買収といった手段を選択し、ファイナンス会社を傘下におさめました。


外資系証券会社、投資銀行がリテールやミドルサイズのローン分野に進出したいということではありません。本音は証券化の玉(ギョク)仕入れにあります。


証券化は原債権を持つオリジネーターがいて、原債権が証券化されて魅力的な金融商品になり、それに投資をする人がいて初めて成り立ちます。つまり何よりもまず、証券化する対象となる原債権がなければ話が始まらないのです。債権とは例えば、上記ファイナンス会社であれば不動産会社向け貸付のことであり、住宅ローン会社であれば住宅ローン貸付のことです。


意外にこの原債権=玉の仕入れが大変です。つまり、証券化できるような資産を保有している会社を堀り出し、証券化のニーズを顕在化させ、アレンジャーとして業務を受注するのですが、今は日系金融機関も証券化に注力していますので、一般的にコストが高く取引の歴史が浅い外資系金融機関はなかなか原債権取得競争には勝てません。


そこで考えられたのが、自分たちで原債権を作ってしまえ、ということ。自分たちの関係会社で融資をしたものを原債権とし、それを証券化するというものです。


しかし、さすが外資系。できなければ何とか実現できる方法を考える姿勢はすばらしいですね。見習わなきゃ。