金融のインナーサークルになじむには

程度の差はあれ、どんなコミュニティーにも閉鎖性があります。閉鎖性があると、知っている人だけ、仲間だけ、という安心感があり、仲間意識が生まれます。SNSが流行る理由もまさにその閉鎖性からくる仲間意識にあるのだと思います。


私は他の大学に比べて仲間意識が強いといわれる慶應大学の卒業生ですが、その私から見ても金融の世界は同じくらいかそれ以上に仲間意識がある業界だと感じます。一種の村社会、インナーサークルです。一旦その世界に入ってしまえば仲間内を大切にし、間接的にみんな知っているという狭い世界ですが、その社会になじむまではそれなりに工夫がいります。


このインナーサークルになじむために重要なのは隠語です。隠語とはある特定のコミュニティーでのみ通じる専門用語、すなわち業界用語のことですが、仲間同士であることを確認しあうために使われる面もあり、特定の言葉=隠語を知っているかどうかが、仲間かどうかの第一の試金石です。


例えば、外資系金融機関では、部門の名前を英語の頭文字で呼びます。簡単な例で言えば、「今、”アイビーディー(IBD)”は調子が良いからね〜」とは、「Investment Banking Division、すなわち投資銀行部門は業績が良い」という意味になります。一文字違って、「あの人は旧”アイビージェー(IBJ)”の人だよ」というと、「Industrial Bank of Japan(=IBJ)、すなわち日本興業銀行出身の人」という意味です。また”旧IBJの人”という言葉には優秀で誇り高き人種という意味合いも含まれます(もう古いかもしれませんが)。


以上の例は隠語というより単に略語で、説明されれば大した話ではないのですが、クライアントやキャンディデートとの会話でこの種の隠語を始めて耳にしたときには、ちんぷんかんぷんでドキドキするものです。また、これらの用語は教科書には載っていませんので、その場で意味を聞くなり、聞きかじった単語を頼りにネットで検索するなり、人脈を活かしてヒアリングするなり、自身で工夫して調べるしかありません。


私の携わっている人材紹介という仕事、特にある業界に特化した人材紹介(当社の場合投資銀行業界や投資ファンド業界)では様々な専門職の方の話を聞くことが多いですし、そもそも業界の動きが早いので、毎日新しい言葉を耳にします。新しいことを聞いたら、それを調べて、理解し、自分のものにしてゆくという作業の繰り返しですから、ネットの世界と同じで私たちの知識は常に”データ版”と言えます。言葉を調べることは、業務内容や業界の背景も勉強することになりますので、奥深く新しい発見もあり、楽しいものです。この「データ版知識のアップデート作業」が楽しいと感じる人であれば、業界に特化した人材紹介の仕事は向いているのではないかと思います。


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