先入観

一昨日はお取引先と飲みました。ついつい「人間とは」のたぐいの話で盛り上がり、2次会にも行ったので、次の日の朝は少しばかりお酒が残りました。今回は業務に支障が出るほどではなかったのですが、たまに飲みすぎた日の次の日は大いに反省します。


お酒の話で思い出しましたが、ある経営者の方は経営者でいる間は一切お酒を飲まなかったそうです。「経営者たるもの、いつなんどきでも決断できる状態でなければならない」というポリシーからです。その経営者は不良債権問題で有名になった方で、世間的には「乱脈経営で、事業にもプライベートにも豪快にお金を使い、もちろん、お酒もたくさん飲みそうなタイプ」というイメージがあるのですが、直接知っている方からは紳士的で人間として素晴らしい方、という評価を聞きます。世間で言われているイメージと、実際とのギャップは大きいのですね。一旦あるイメージがつくと、どうしてもそのイメージで見てしまい、なかなか本当の姿は見えずらいものです。いわゆる、先入観の問題です。


先日も同様のことがありました。ある企業から内定を貰った方から「内定を貰ったポジションでの上司になる方は、以前社会的な問題が発生した会社で責任あるポジションにいたと聞いた。社会的問題を引き起こしたかもしれず、そうだとしたら一緒に働けない。内定を受けるかどうか考えさせて欲しい」と言われました。実際にはその上司になる方は立派な方であり、社会的問題とは一切関係ないのですが、その点を説明して納得いただくのに苦労しました。私は、世間では「問題企業にいた人」=「問題のある人」という先入観が根強いということを思い知りました。


最近、役所や警察、社会保険庁、その他企業の不祥事が大きくニュースで取り上げられています。その不祥事を起こした方々は悪いんでしょうが、それよりも、一生懸命生きているにも関わらず、その組織にいたが故に世間から白い目で見られて肩身の狭い思いをしている方が気の毒で仕方ありません。逆説的に言えば、偏見による辛い思いをした人が増えれば、先入観を持たない人が増えるとも言えますが。そう願いつつ、自分も先入観を持たずに物事を見ているのだろうかと反省するこのごろです。