不動産ファイナンスの業界話

先日の日経新聞の一面にもあったよに、2006年末の不動産ファンドの運用資金残高(いわゆるエクイティー残高)は11兆5000億円超になりました。この数年倍々に増えています。


これでもまだ、年金をはじめとした国内機関投資家の不動産投資割合は1%以下と、米国の数%には遠く及ばない水準です。また海外の資金も依然活発で、最近は特にオーストラリア資金が日本の不動産に対して強気のようですね。そのようなわけで、ファンドによる不動産投資はまだ増えるだろうというのが、大方のマーケット参加者の予想です。


不動産に投資をする際にエクイティーだけで投資をすると、エクイティー利回りが落ちるので、多くのファンドはエクイティーは物件価格の2〜3割しか投入せず、7〜8割を借り入れ(多くの場合ノンリコースローン)でまかないます。従って不動産物件の取得金額ベース(ハードアセットベース)では、エクイティー残高の3倍くらいあります。


いずれにせよ、ファンドによる不動産投資が盛んになればなるほど、不動産ファイナンスの需要も増えます。貸す側である金融機関のことをレンダーと呼びますが、レンダーも通常のローンよりもノンリコースローンのほうが利ざやが稼げるので、積極的に対応してきました。そのようなわけで、主要レンダーである日系各銀行の不動産ファイナンスの部署はこの数年、活況を呈しています。


しかしながら、日系銀行の不動産ノンリコースローン残高の急拡大に危機感を持ち始めた金融庁が、ノンリコースローン残高の急拡大に難色を示すようになり、銀行も以前よりは積極的ではなくなっているといいます。そこで代わりに積極的にこのビジネスに出ていきているのが、外資系証券会社です。そのようなわけで、外資系証券会社で不動産ファイナンスチームの採用が活発です。


では、証券会社と銀行の不動産ファイナンスチームの違いはなんでしょうか。両者とも不動産のキャッシュフローを担保に貸すことには変わりないのですが、少し仕事の進め方が違うようです。その違いはまた今度。

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