面接の技術について思うこと

先日お会いさせて頂いた方で、異業種から投資銀行業界への転職希望の方がいらっしゃいました。コンサルティング会社の面接では評価されるものの、投資銀行業界の面接ではうまくいかないんだそうです。本当の性格はわかりませんが、「面接」といった状況では「自己完結した仕事を望み、短期的な成果にモチベーションが上がり、はっきりと自己主張できる一方で、非合理的なことへの耐性が低い」という印象を与える方だと思いました。従い、コンサルティング会社での顧客常駐型の仕事であれば、短い時間でのアウトプットへの期待にも応えられ、初めての環境でも臆することなく堂々と合理的な主張ができ、生き生きと仕事をしている姿が想像できます。


しかしご本人が希望している「M&A」や「カバレッジ」といった投資銀行業務では、最初は丁稚奉公から始まるようなヒエラルキーの世界であり、そこでは上司に尽くすことが要求され、時には非合理的な要求もあろうと思います。そういう環境に入った場合、非常にモチベーションダウンしている姿を面接官に想像させてしまいそうです。


ご本人の本当の性格は短時間ではわかりませんから、本当のところはわかりません。ただ、初めて会った方がどういう印象を持つのかはある程度予想がつきます。自分が「○○の仕事をやりたい」と主張されることと、初めて会った方が「この人なら○○の仕事ができる」と想像することに乖離があると、なかなか評価が高まりません。


もし、人に与える第一印象と、自分の本当の姿に乖離があるようなら、それを一致させる努力が必要です。たとえば、「大らかな性格に見えると思いますが、本当は緻密なんです、なぜならば・・・」といった具合に、具体的エピソードを入れるのも有効でしょう。もっともその具体的エピソードがその証明になっていないといけないので、そのエピソードについてもきちんと整合性が取れるように考える必要があります。


自分自身を俯瞰して観察し、自己認識と他己認識を一致させる。


これは面接の際に非常に重要なことだと思います。